[Amazon Connect]「電話番号への転送ブロック」にある「発信者ID番号」と「発信者ID名」について

[Amazon Connect]「電話番号への転送ブロック」にある「発信者ID番号」と「発信者ID名」について

Clock Icon2024.03.13

こんにちは、洲崎です。
Amazon Connectでコンタクトフローから外部の電話番号に転送する際は「電話番号への転送ブロック」を利用します。
その中の設定にある「発信者ID番号」と「発信者ID名」について、確認する機会があったので紹介します。

発信者ID番号 = コンタクトフローから外部の電話番号に転送した際に通知される電話番号です。
発信者ID名 = コンタクトフローから外部の電話番号に転送した際に通知される発信者名です。

※2024/3/13時点での情報です。今後の電話番号における法改正などによっては仕様や対応方法が変わる可能性があります。

はじめにまとめ

発信者ID番号の設定

  • 「電話番号への転送」ブロックを使う場合は、必ず「発信者ID番号の設定」にAmazon Connectインスタンス内で管理している電話番号を指定することを推奨します。
  • 転送時に「発信者ID番号」を設定しなかった場合
    • 転送拒否、低音質、遅延、誤った発信者番号の表示など、サービス関連の問題が発生します。
  • 転送時に「発信者ID番号」にAmazon Connectで取得済みの番号以外の電話番号を設定した場合
    • 転送拒否、低音質、遅延、誤った発信者番号の表示など、サービス関連の問題が発生します。

本件は米国リージョン・米国電話番号以外でAmazon Connectを利用する際に起きる事象です。
米国リージョンでは転送時に「発信元電話番号」にAmazon Connect以外で管理している電話番号を設定した場合でも、設定した番号が通知されます。
参考:https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/transfer-to-phone-number.html#transfer-to-phone-number-properties

発信者ID名の設定

  • 「発信者ID名」は、すべてのプロトコルがSIP(Session Initiation Protocol)のみである時に転送先に表示されます。
  • すべての通信をSIPのみで行うことは考えづらいため、基本的に「発信者ID名」の通知はできないものと認識した方がよいと思われます。
    • 東京リージョンで「転送元」→「Amazon Connect」→「転送先」で実施したところ、発信者ID名は表示されませんでした。(こういうユースケースならできたよといったものがあれば教えてください)

伝えたいことは上記がすべてになります。
以下では「電話番号への転送ブロック」の設定内容や調べたこと、代替案などを記載していきます。

電話番号への転送ブロック

「電話番号への転送ブロック」とは、Amazon Connectの以下のフローで利用できる、フロー内で外部の電話番号に転送する機能です。

  • コンタクトフロー
  • 顧客キューフロー
  • エージェントへ転送
  • キューへ転送

利用用途としては、お客さまから電話が来た時に外部の電話番号に転送したいケースです。

ブロックは「終了」の中にあります。

「電話番号の転送ブロック」では以下の設定が可能です。

  • 転送先
    • 手動で設定するか、動的に設定するかを選べます。
    • 手動の場合、国コードと電話番号を入力します。
    • (電話番号の部分ははじめの0とハイフンを抜いた数字を入れます。例:090-xxxx-1234の場合、90xxxx1234と入力する)
    • 動的の場合、フローの中のパラメーターを元に指定可能です。
  • タイムアウトを設定
    • 転送した際のタイムアウト値を設定することができます。
  • 切断後にフローを再開
    • 成功・呼び出し失敗・タイムアウトの分岐の有無を設定できます。
  • オプションのパラメータ
    • 外部電話番号に転送する際、下記のパラメーターを送信することができます。
    • DTMF:DTMF通信(数字のテンキーの入力)の情報を送信できます
    • 発信者ID番号:通知する電話番号
    • 発信者ID名:通知する発信者名


この中で注目するのはオプションのパラメーターにある「発信者ID番号」と「発信者ID名」です。
外部に転送した時に「どの電話番号が通知されるのか?」といった質問をいただくことがあるので、調べてみました。

発信者ID番号

発信者ID番号 = コンタクトフローから外部の電話番号に転送した際に通知する電話番号と認識ください。
こちらですが、ドキュメントにある通り、米国以外でAmazon Connectを利用する場合、Amazon Connectインスタンスにある電話番号を選択することを推奨しています。

中にはコンタクトフローから外部の電話番号に転送をした時に、転送先に転送元を通知したいといったケースもあるかと思います。(以下のようなケースです)

転送元→Amazon Connect→転送先
※この時に「転送元」の電話番号を「転送先」に通知したい

残念ながら、現時点では米国以外でのAmazon Connectの利用では、上記の要望を叶えることはできません。
(おそらく転送元とAmazon Connectの電話番号等で契約主やキャリアが異なる等といった理由や、国固有の規制等が絡んでおり制限されているのではと推測されます)
また、ここで気をつけなければいけないポイントは、「発信者ID番号」はAmazon Connectインスタンスにある電話番号を登録することが推奨されているので、登録するようにしましょう。
(「発信者ID番号」にAmazon Connectインスタンスにある電話番号を登録をしないとサービス上問題が起きる可能性があります)

どうしても転送先に転送元の電話番号を表示させたい場合は、転送先で対応するメンバーもAmazon Connectのキューやユーザーとして含めて、Amazon Connect内で完結できれば可能です。
対応方法について、以下記載します。

現状

お客さまがAmazon Connectに電話をかけて、Amazon Connectのフローから外部の電話番号に転送すると、Amazon Connectの番号が通知されます。

対応策

Amazon Connect内で対応を完結することができれば、お客さまの電話番号を把握することができます。
例えば、Amazon Connect内でIVRなどで振り分けを行い、対応者をAmazon Connectのみで完結することができれば、お客さまの電話番号を把握することができます。
Amazon Connectはインターネット回線、PC、ヘッドセットがあれば対応可能のため、場所にとらわれることもありませんので、下記の構成を取れるかを一度検討してみてください。

発信者ID番号の転送の動作を確認してみる

ドキュメントによると、国によっては0120の場合だと、Amazon Connectの電話番号を設定しても通知がされないとも読み取れる記載がありました。
日本の場合、実際どうなるのかやってみました。

発信番号IDをtoll-free(0120 or 0800)にした場合

転送元→Amazon Connect(toll-free)→転送先

Amazon Connect(toll-free)の番号が転送先に表示されました。

発信番号IDをDID(03 or 050)にした場合

転送元→Amazon Connect(DID)→転送先

こちらも問題なく、Amazon Connect(DID)の番号が転送先に表示されました。
日本の場合は、番号種別に関わらず、Amazon Connectの電話番号を発信者ID番号に設定したら問題なく通知されそうです。

発信者ID名

発信者ID名は、電話番号ではなく、SIP(Session Initiation Protocol)から渡される値を表示することができます。
SIPとは、インターネット上での音声やビデオ通信を可能にするプロトコルです。
発信者IDを外部の電話番号に転送できる場合は、ネットワーク全体の通信がすべてSIPである場合のみとなります。
この発信者ID名は、どうやら米国およびカナダではCNAMデータベースというものに登録して利用するのがベストプラクティスとのことです。
参考:Amazon Connect の発信者 ID の問題をトラブルシューティングするにはどうすればよいですか?

試しに以下の条件で東京リージョンで下記をやったところ、発信者ID名は表示されませんでした。

発信者ID名:suzaki
転送元→Amazon Connect→転送先

結果:Amazon Connectの電話番号が転送先に表示されました。(発信者ID名は表示されませんでした)

最後に

Amazon Connectから外部の電話番号に転送する際の「発信者ID番号」と「発信者ID名」について、調べてみました。
電話番号周りは複雑だったり、国の規制など絡んできますので、最初にしっかり検証しておきましょう。

また、「発信者ID番号」については、明示的にAmazon Connectの電話番号を指定をしないとサービスに大きな影響が出るので、必ず設定するようにしましょう。

ではまた!コンサルティング部の洲崎でした。

参考

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